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 子どもの健康メモ
 市販薬と処方薬
 風邪を引いたりしますと病院にかかりますが、市販の薬で様子を見ていたのですがよかったでしょうか、とかどんな時に病院に連れてきたらいいのでしょうか、と聞かれる事があります。鼻水がでたといってすぐに受診する方もおられますし、熱がなかったら1週間も2週間も様子を見られる方もおられます。どちらが正しいのでしょうか?確かに風邪症候群(鼻水、咳、発熱が主症状)では数日で軽快する事も多く経験します。ですからそれくらい自分で経過観察する事を一概にダメとは言いません。
  しかしながら市販薬は一般に病院でもらう薬とは成分は同じでも量が少なく効果からは疑問視されることが少なくありません。ですから私は市販薬で様子を見るのは3日までと言っています。その心は?つまり2〜3日で治るのでしたら薬を飲まなくても治る!という意味です。2〜3日でよくならないようでしたらやはり受診される方がいいでしょう。また市販薬は一般に症状を取る薬で、治療薬ではない事を理解しましょう。従って治っていないのに楽になったからといって無理するのは返って逆効果かもしれません。風邪は万病の元と言いますがその真意は多くの病気の初期症状が風邪症状に似ているということなのです。市販薬で症状が取れても元の病気が治っていなかったり、実は別の病気の初期症状として現在の症状があるのかもしれません。注意が必要です。
  さらにもう一つ付け加えます。それは『医者のさじ加減』のことです。市販薬を見ますと7歳以上は3錠、3才〜6才は2錠とか書いてありますね。つまり年齢で投与量が決められているのです。3才と6才で投与量が同じというのは ずいぶん問題ですね。小児科医は一般に体重と年齢を加味して薬の量を決めます。そしてさらに症状を検討して薬を増やしたり減らしたりさじ加減をするわけです。だからといって市販薬の量を勝手に 増やしたり減らしたりすることはよくありません。市販薬はすぐに買えるから簡単かもしれませんが 以上のことを参考にして下さい。
  そして小児科医はいろいろ考えて処方していることを分かっていただいて、出来る限り診察なしに処方だけを求めることは避けたいですね。

 子どもの発熱
 子供さんは急に発熱しますので、ご家庭でもその対応に困られることがあるかと思います。発熱の原因の大部分は細菌やウイルスなどの感染症によるものです。
 発熱は一般的に体の生体防御(ちょっと難しい言葉ですが)反応と考えられています。たとえ話ですが体にウイルスが入ってきた状況はちょうどインベーダーがある村に入ってきたようなもの。それに対して免疫細胞、言ってみれば地球防衛軍は火炎放射器やミサイルでそのインベーダーをせん滅しようとする。この現れが発熱であって、いわば熱は味方がだしている。だから熱があっても体に余裕があれば熱冷ましは使わなくて良い。でも地球防衛軍もやりすぎて近辺のなんでもない村や田畑までダメにしてしまっては戦に勝てないように、熱で全身がバテてしまうようなら一次的休戦に持ち込むように熱冷ましを使ってもよい、、、、、、。というわけです。
 発熱そのものが脳に影響を来すには42℃を越えないと起こらないと言われています。体は発熱することによってウイルスや細菌と戦いやすい環境を作っているのです。従って一般的には体温が38-9℃であっても、もし子供さんがしんどそうでなかったらできるだけ解熱剤を使うことはさけた方がいいのです。しかしながら、熱が高くてとてもしんどそう、水分の補給が十分にできていない、頭を痛がる、などの時には解熱剤を使用して症状がとれるかどうか試してみてもかまいません。少し熱が下がったときに食事が進んだり水分がとれるようでしたらそれもいいでしょう。ただ忘れていけないことは、解熱剤は病気を治療しているわけではないことです。解熱剤を使い症状をマスクすることにより病状が潜行して治療が遅れることだけは避けたいものです。ましてや解熱剤を使用して熱が下がったから、と言って学校に行かせたりする事はさけてほしいと思います。
 子供には自分で直そうとする力があります。それを信じて子供さんの熱に一喜一憂しないで水分がしっかり取れているか、尿は十分出ているかなど全身状態をしっかり観察するようにしましょう。